DVへの慰謝料は免責されません

 自己破産の手続を行う場合、最大の目的は免責決定つまり借金を免除してもらう決定を裁判所から出してもらうことにあります。免責決定が出ることによって、破産申立ての際に裁判所に届け出た債権者一覧表に記載された債権者に対しては、今後借金を支払う必要がなくなります。しかし、いくつかの非免責債権、つまり、破産手続によっては免責されない(借金が免除されない)債権が規定されています。

 配偶者に対するDVによって慰謝料の支払債務を負担している場合はどうでしょうか。法律には、具体的な非免責債権が列挙されているのですが、不法行為で発生した債権は、非免責債権として扱われる場合があります。たとえば悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権、故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権などです。

 この点、DVを理由とする慰謝料支払債務は、法律上は、不法行為に基づく損害賠償債務(民法709条、710条)と考えられますので、非免責債権に該当することが想定されます。ただ、民法上の不法行為は、「故意又は過失」が要件であるところ慰謝料請求権が単なる過失の不法行為の場合は該当しません。それでも、「悪意で加えた」という要件が立証されれば、DVを理由とする慰謝料請求権は、非免責債権として扱われることになります。

 DVという行為の性質上、「悪意で加えた」という要件を充たしていることが原則的な処理と思料されますので、DVによる慰謝料は免責されないのが原則です。ただ、規定を正確に理解することは、法律の知識がないと困難ですので、お一人でお悩みにならずに、熟知している弁護士に相談下さい。

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