善意?悪意?「悪意の受益者」とは

過払い金の返還を求めて金融業者を相手に訴訟を行う際に、「悪意の受益者」という言葉が裁判を行っていく上で登場してきます。

悪意の受益者という言葉で用いられる「悪意」の意味は、いわゆる「悪い」「良い」の悪意ではなく、「知っている」という意味になります。法律用語で「悪意の受益者」とは、得られる利益が不当利得である事を「知っていながら」利益を取得した者を指します。悪意の受益者に不当利益分返還の訴訟を起こす場合には、不当利益の元本に加え、元本に対する「年5%の利息」をつけて請求を行う事が出来ます。

貸金業者に対し訴訟を起こし「年5%の利息」を請求するには、彼らが悪意の受益者であることを過払い金返還請求する側である債務者および代理人の司法書士が立証する必要があります。

つまり、過払い金が法律上不当な利益である事を「知りながら」、長年に渡って債務者から支払われる過払い分の利益を取得し続けてきた消費者金融などは、法律で定められた利息制限法の上限利率を越えた利息分に対して受け取る法的根拠がない(みなし弁済法が成立しない状態)事を知りながら不当利益を得ていた事になり、過払い金とその過払い金に年利5%の利息をつけた利息分の請求が可能となります。

過払い金請求訴訟を行った際に、貸金業者がみなし弁済により「過払い金の年利5%の利息分の支払いを認めない」という反論するケースがあります。

これは、貸金業法17条により貸金業者が債務者に契約書を発行する際に義務付けられた「17条書面」という書面を武器にした反論で、「17条書面の中に過払い金に関する利息を認めないという項目があったのだから、支払う必要はない」という主張が実際に裁判で認められたケースがあり、このような手法で貸金業者が反論してくるようになりました。

しかし、17条書面による過払い金の利息分支払い義務については正式な条項をきちんとすべて満たしている書面はほとんどなく、平成23年の最高裁の過払い金請求裁判の判決においても、「17条書面と分かる確定された内容の記載がない場合には悪意の受益者という立場が覆る事はない」として、貸金業者が17条書面などの書面を使ってみなし弁済の正当性を主張する事はほぼ出来なくなり、貸金業者の主張は裁判では通らない状態となっています。

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