債権管理回収業(サービサー)とは?
金融債権の回収行為は原則的に弁護士と、認定司法書士にしか行えませんが、特例として、弁護士以外にもこれを行える債権管理回収業(サービサー)という会社があります。この債権管理回収業は、法務大臣の許可を受けた会社のみが行うことができます。その一覧は認可番号順に公開されており、現在では80社を超えるサービサーが存在します。
金融業者は、債権の回収が難しいと判断するとサービサーにその債権を売却することがあります。元々回収不能と判断をした債権なので、売却価格は額面の半額以下の場合が多く、ほんの数%程度のこともありますが、それを買い取ったサービサー側は額面通りの請求を行うことが可能です。
サービサーが行うことのできる回収行為は、「債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)」によって決められています。もちろん法務大臣の許可を受けていない会社がこれを行うことは違法行為になります。過去にサービサーとして許可を受けていない会社がこれを行ったことが、最高裁第三小法廷平成24年2月6日判決によって違法行為だという判例が出ました。
この裁判は、取立てを受けた側は過払金返還を求めれば返還金を受けられるような過払い状態だったのにも関わらず、回収会社側は自宅や職場まで執拗な催促行為を繰り返し、支払いをさせたことが違法行為か否かという内容でした。回収を行った会社側は、サービサー法の第2条2項にある和解による支払いを主張しましたが、その高圧的な回収行為の違法性もさることながら、そもそも同じくサービサー法の第33条1項に、許可を受けずに債権管理回収を営んだ者には3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金、またはその両方に処するとあります。更に、第33条3項にはサービサーの名義を他人に貸すことを禁止している内容もあることから、これらに該当すると考えるのが相当であるという最高裁判決が下りました。
この判決によって、許可を受けていない回収会社による回収行為は違法だと確定したことで、それまでは同様の行為を行っていた”闇サービサー”と呼ばれるような会社も多く存在していましたが、この判決以降は序々にその存在も減りつつあります。
消費者金融などの金融業者への返済が滞っている期間が長くなると、突然全く知らない会社から、債権を譲り受けたという内容の書類が届くことがあります。この場合、そのサービサーに債権が売却されたということになりますが、まず、それが許可を受けているサービサーなのかを法務省のホームページにて確認した方がいいでしょう。